青貝塗 「青貝唐山水卓」

石瀬松次郎 作

青貝漆器の中で、唐物と呼ばれている代表的製品のひとつである。意匠の表現の基本は截ち切った薄貝の細片をモザイク風に組み合わせて、松葉、紅葉、笹、唐草、波、七宝文などを表現する。貝の截ち切りの方法は、棒、三角、四角などは刀で截ち、波、雲、円弧、蛤形などは蓮花ノミを用いて突き切って作られる。
大正十年(一九二一年)頃の作


青貝塗とは、鮑などの貝を刀・針等を用いて三角形や菱形の細片をつくり、これを組合わせて山水・花鳥を表現する技法で、江戸初期、当時の富山藩主前田正甫公が京都より招致した名工、杣田清輔に影響されて発展したといわれています。
高岡の青貝塗は、唐漆器写しから始まった薄貝技術と、朝鮮工人や奈良から習得し改良された厚貝技術があり、いずれも工人たちの意匠・技術の開発努力により今日の技法の確立がなされました。
加飾に使う貝は、飽貝のほか夜光貝、蝶貝、孔雀貝などの種類があり、飽貝には青色とピンク色が交互に輝く華やかさがあります。また、夜光貝は光沢に落ち着きと優雅な昧わいの輝きがありますが、いずれも貝特有の真珠色が漆の色艶とよく調和し、独特な昧わいをかもしだしています。



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ご提供: 伝統工芸高岡漆器協同組合